瀬戸大橋がなぜ美しいのか?
また、私がなぜ東山魁夷の作品のブルー・グリーン・グレーに惹かれるのか?
今回の「香川県立東山魁夷せとうち美術館」に訪れて納得しました。
・瀬戸大橋の色は東山魁夷が提案したこと
・ライトグレーが瀬戸内海の景観に合うこと
結局、自然界において人間による建造物はいかに周りの景観にマッチするか?
瀬戸大橋は、単に陸と陸を繋ぐという交通機関の橋ではなく、海と島と山の中の一部分であるから、心惹かれるのです。
香川県立東山魁夷せとうち美術館は、建築家 谷口吉生氏により設計された美術館です。
美術館の色も東山魁夷が瀬戸大橋の色の提案をしたと同じライトグレー。
入館料と館内
入館料は現金のみの支払いですが、JAFの割引が利用できました。(2024.2)
荷物を預けるロッカーは、向かって受付右にあり100円で利用後返却されます。
グッズに関しては、ロッカーのならびにカウンターがあり、代金はチケット販売の受付で支払うようになります。
美術館内部は、1階の展示室は吹き抜けになっていて、階段を上がって2階の展示室へ向かう美術館です。
2階の展示室に「デジタルミュージアム」装置があり東山魁夷の様々な作品を知ることができます。
展示室は、それほど広くはありません。
平均的な小中学校の教室が64㎡なので1階2階それぞれ2教室強分の広さです。
・展示室面積 277.00平方メートル
・階数 地上2階
・建築面積 717.41平方メートル
・延床面積 853.15平方メートル
展示室(1階) 140.00平方メートル
展示室(2階) 137.00平方メートル
・設計 谷口建築設計研究所
香川県ホームページ
2階展示室から降りたところに「なぎさ」というカフェがあります。
ここでは撮影可能。
出口近くにお手洗いがあり、展示室を出るとフロントに戻ります。
そこで「東山魁夷の生涯」に関するムービーを観ることができました。
東山魁夷について
一部抜粋↓
東山魁夷年譜 瀬尾典昭 編
1908年(明治41)7月8日 東山浩介・くにのの次男として、横浜にて生まれる。本名は東山新吉。一家は香川県櫃石島の出身で、17年前に死去した祖父の名をとって「新吉」と名付けられた。父は当時、船具商鈴木弥兵衛商店の横浜支店長を務めていた。本籍は東京都品川区南品川。
1911年(明治44) 3歳 父が鈴木商店をやめ、一家で神戸市に転居する。兵庫区西出町で船具商東山を営む。幼少期の新吉は家に引き籠りがちで、ひとりで絵を描いて遊ぶのが好きな子供だったという。
1913年(大正2)5歳 神戸市西出町の私立信成幼稚園に入園する。この頃の担任の指導によって、人前で絵を描いたり、物語を作って発表することに喜びを見出すようになる。
1915年(大正4)7歳 4月、神戸市立入江尋常小学校に入学する。在学中はしばしば級長をつとめ、また学習の合間には好んでよく絵を描いていた。
1921年(大正10)13歳 4月、兵庫県立第二神戸中学校(現・兵庫高等学校)に入学する。この頃、油絵道具一式を入手し、技法書を見て独習する。
1925年(大正14)17歳 中学5年生の夏、画家を目指すことに反対する父を学校の担任教師に説得してもらい「洋画は駄目だが日本画ならば」という条件で、東京美術学校(現・東京藝術大学)の受験の許しを得る。
1926年(大正15/昭和元)18歳 4月、東京藝術大学日本画科に入学する。淀橋区上落合(現・新宿区)に下宿し通学する。同級生には橋本明治、加藤栄三、山田申吾らがいた。夏、友人と天幕を背負って信州を旅し、木曽川を遡り、御嶽山に登る。初めて接する山国の雄大な自然に深い感銘を受ける。
『東山魁夷展 自然と人、そして町』 発行:日本経済新聞
東山新吉は、画名を魁夷としたのは東山という姓が優しいので魁夷と力強い名にしたそうです。
東山魁夷に関わる美術館は、日本各地にあります。
長野県信濃美術館 東山魁夷館
市川市東山魁夷記念館
香川県立東山魁夷せとうち美術館
なぜ、この香川県に東山魁夷の美術館が作られたのか?
魁夷の祖父が瀬戸内海の香川県櫃石島出身ということと瀬戸大橋の建設時に色に関する提案があったからのようです。
また、香川県に奥様より寄贈された作品もあったため、香川県立東山魁夷せとうち美術館が作られました。
長野や千葉の市川は魁夷自身が生活した場所であるのでわかるのですが、坂出という土地に美術館ができた経緯は上記の理由です。
他に有名なのは、唐招提寺御影堂障壁画です。
日本を代表する近代の画家のため、東京国立近代美術館に多くの作品が所蔵されています。
幼少期を神戸で過ごしているため、よく神戸市内で展示会も企画されています。
湖や海、山や空の大自然と生活の場である街並みを表現している作品になにかしら癒しを感じる作品が多いと私は感じます。
今回の作品展|西洋の風景ー追憶の町と山湖礼讃
2023年度 第4期テーマ作品展
私は東山魁夷といえば版画と思っていましたが、今回の作品展 2023年度第4期テーマ作品展「西洋の風景ー追憶の町と山湖礼讃」で1番気になった作品は「エルシノアの街」といって紙本彩色。
パンフレットの裏側の作品です。
額縁の色がブルーグレーということにも何か??理由があるのか館内の職員の方に確認しましたが、香川県が購入した時から、額縁がついていたようです。
紙本彩色(しほんさいしき)とは版画ではなく、紙に色を着彩する方法のようです。
ちなみに紙に墨で描いた場合は、紙本墨画と言います。
リトグラフの中では「山湖澄む」湖の手前の木と湖の向こう側の木と湖面に映る木の濃淡がとても印象に残りました。
残念なことにポストカードはショップにありませんでした。
`まとめ
今回の展覧会は西洋の風景のため、自然だけでなく街並みの作品が多く、色々な作品を観ることができました。
コンパクトではありますが周りの自然に溶け込んだ美術館であり、瀬戸内国際芸術祭の一役を担っていることに気づくことができました。
ぜひ、瀬戸大橋の美しさを香川県立東山魁夷せとうち美術館より眺めてみてください。
美術館の周辺も味わいがあります。